ドラマ20180306:Grace and Frankie S1~S4
友達はおろか知り合いすらもほぼいない土地に引っ越してしまいました。
シンガポールに越した最初の頃みたいな、ネットフリックスが唯一の友達!!状態。
ちょっとした社会主義国だったシンガポールに比べて香港はお買い物がめちゃ楽しいので出かけたりはしてますが基本は家で永遠にネットフリックス観てます。
しかし年一くらいのペースでこういう期間がある方がなんか気持ちリセットされるから好き!
シンガポールでも友達に勧められて、日本人の友達にも勧められて観始めたのがGrace and Frankie。
左がフランキーで右がグレイス。
正直、めちゃ面白いしノリも結構軽めでずっと観てられるドラマ。
いまはSeason 4まであり、Season 5の作成も決定しているとのこと。
■あらすじ
主人公のグレイスとフランキーは、アラウンド70にしてそれぞれの夫から離婚を切り出される。その理由は、グレイスの夫ロバートと、フランキーの夫ソルは実はゲイで交際関係にあったから。妻のグレイスとフランキーと別れ、ロバートとソルは同性婚の再婚をするというのだ。
現実を受け入れられないグレイスが家出をした先は海辺の別荘。グレイス一家がフランキー一家と共同購入した別荘には、当たり前の様に激怒したフランキーも駆け込んでくる。順風満帆だと思っていた老後生活で唐突にひとりになってしまったグレイスとフランキーの共同生活が始まる。
■キャラクター
フレンズのクリエイターが制作してるドラマで、キャラも結構みんなああいうノリ。
グレイスはデス妻のブリーをもっとコミカルにした感じ。家事も完璧、身なりも気を付けて70でもモテモテ。常識人だけど頑固で思い込みも強く、時には酔狂人のフランキーから物事を諭されたりする。最初はこの年で旦那に捨てられた自分のことを惨めに感じていたけど、それをバネにして新しいビジネスを始めたり恋愛したりとおひとりさま老後のお手本のひとつみたいな感じ。
グレイスの元夫のロバートは、グレイスに似て常識人。だけどミュージカルが好きだったりゲイっぽい部分もある。ソルとは20年間付き合っていたのだからもちろん好き合ってはいるのだけど、いざ結婚して共同生活を始めるとソルの自由な部分についていけずグレイスのことを思い出したり。
フランキーは自由奔放なアーティスト気質で、家で元受刑者に絵画教室を開いたり、海辺で瞑想したり。フレンズのフィービーがおばあちゃんになりました、みたいな感じ(ちなみにフィービー役の人がS4にゲスト出演してます!)。衝動的なのによく考えてたり、破天荒に見えて筋が通ってたりして徐々にグレイスはフランキーのことを同居人以上の存在として認めるようになる。
ソルはフランキーの元夫で料理が得意な物腰柔らかい感じ。フランキー程ではないけどソルも周りの人からはちょっとした不思議ちゃん扱い。基本的にはフランキー一家がボケでグレイス一家がツッコミ。ソルも、フランキーの様に同じテレビを見て盛り上がれないロバートにヤキモキしたりする。
すごく良いのが妻から隠れて20年間交際したロバートとソルの結婚生活も決して順風満帆ではないこと。人生において最適解っていうのは中々ないし、最適解に至るためには環境よりも自分自身を見つめることなんだなってメッセージがある。ような気がする。
もちろんグレイスとロバートには2人の娘ブリアナとマロリーが、フランキーとソルには2人の息子コヨーテとバドがいる。
彼らも両親の離婚と、父親同士の再婚によって幼馴染だった子供たちはきょうだいになってしまう。
彼らのドタバタもストーリーの重要なファクターである。
■所見
僕の大好きなドラマ『最高の離婚』で主人公のおばあちゃん役の八千草薫のセリフで下記がある。
『夫婦は別れたら終わりと思ったら大間違いよ。婚姻届が結婚の始まりのように、離婚届は離婚の始まりなの。』
もちろんグレイスもフランキーも40年間もそれぞれの夫と結婚生活をしていたのだから、離婚をしてそれで離縁。終了!とはいかない。子供たちのこともあるし、自分自身の問題で元夫や元妻を頼らざるを得ない瞬間がある。そしてそれぞれの家族のゴタゴタやその着地点は毎回結構ほっこりする。
元夫たちが自分たちにした仕打ちを思い出して冷酷になりたいのになれないグレイスとフランキー。
そういう人間味がずっと描かれてるのがすごく良い。
そして僕自身すごくドラマ全体でグッと来たのは、グレイスとフランキー、ロバートとソルの描写っていうのはそれぞれ『おひとりさまの老後』、『ゲイの老後』であるということ。
僕はゲイとして生きてて、もちろん毎日楽しいし、ゲイの友達も沢山居て満ち足りてると思う。でも、時々ヒュッとうすら寒くなる瞬間がある。老後のことである。僕はきっと、ゲイで、かつおひとりさまであることが確定されてるような気がする。
ゲイの老後、おひとりさまの老後っていうのは身近に例を探しにくい。めちゃめちゃ変な文章だけど、知っているおじいちゃんやおばあちゃんはみんなノンケだ。
(もしかしたら結婚してるだけで実はゲイかもしれないけど!!)
自分たちの将来のロールモデルを探しにくい、探せないこの世の中でゲイの老後、おひとりさまの老後を描いたGrace and Frankieって実はすごいドラマなんじゃない?って考えてしまう。
アラウンド70の彼らにはもちろん体調の問題もあるし、友人の病気や死(それが他人事ではないことも含め)、家族の問題、家族や周りの人の自分の扱いの変化など年齢による暗い影も沢山ある。
それを打ち砕くみたいに明るく楽しく生きてる彼らの姿を観てると、たとえ創作物だとわかっててもゲイでおひとりさまの僕の老後も割と明るくない?って思えてくるのである。
70になっても恋愛をするグレイスとフランキー。自分たちで高齢者向けセックストイのビジネスを始めたり、絵画の個展を開いたり。ロバートとソルもミュージカルに出演したり隣人と交流したりと殻を破る。
単純な脚本の面白さとか会話のテンポの良さだけじゃなくて、おひとりさま/ゲイの老後っていう一見暗い話題を終始明るくコメディにすることで視聴者を元気にするって良さがあると思う。これは本当になかなか他のドラマじゃ探せない要素だと思います。
いちSeason 13話で1話約30分なので観やすいです。
めちゃめちゃ夢中で見てしまったのでこのブログを読んでるおひとりさまでゲイの老後(おひとりさま/ゲイどっちかでもいいよ)の予感がしているみんなはぜひ観てね。
Netflixオリジナルドラマって結構馬鹿にしてたんですが、凄かったわ。
テレビ局が潰れる時代、っていうのも遠くないのかなって思っちゃいます。
なんか次、観るもの探さないと。。。