Epistemicia by Banma!!

バンマのブログ。

ドラマ20210525:坂元裕二ドラマ

テレビの視聴者層ってここ十数年とかで明らかに変わったんでしょうけど、ドラマに関しては明らかにアラサー~アラフォー世代向けのものにテレビ局も力入れるようになってる気がします。

今期で一番見られてて、人々に話されてるのは『大豆田とわ子と三人の元夫』かと思いますがこれぞバチボコにアラサー、アラフォーに刺さるドラマですね。


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毎回最高すぎて毎日毎日繰り返し見てますわ。

 

『大豆田とわ子と三人の元夫』の脚本家は坂元裕二という方なんですが、過去のドラマも名作揃いの最高の脚本家です。

見たことない方にはぜひ過去の坂元裕二ドラマもぜひ見て欲しいので紹介します。

 

■カルテット

4年前のドラマですが、『大豆田とわ子~』とテイストがかなり似てます。

というのも、プロデューサーが同じなので構成や雰囲気で類似する部分が多い。

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4人の音楽家(って言っていいのか)が集ってカルテットを組み、共同生活を送るドラマ。

恋愛ドラマともミステリードラマとも言い難い、人間ドラマに複数の要素を盛り込んだ新ジャンル『坂元裕二ドラマ』って感じです。

『大豆田とわ子~』と比べるとこちらの『カルテット』の方が恋愛要素もミステリー要素も多くてエンタメ感が強いかも。

配信も結構いろいろなサービスでされてるので『大豆田とわ子~』の次週が待ちきれない人は『カルテット』で間を埋めるのがよいでしょう。

 

最高の離婚

坂元裕二ファンが名作一位に挙げがちですが、本当に最高のドラマです。

僕自身も人生ベストドラマTOP10に確実に入れるでしょう。

2組の夫婦が離婚をする(片方はちょっと事情が違いますが)だけで1クール11話を使うという驚異のドラマですが、その神髄は会話劇。

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繰り返される夫婦喧嘩や話し合いに織り込まれた名言たちが心に刺さりまくる。

『大豆田とわ子~』の中村慎森(岡田将生)が好きな人(いるのか?)は特にこちらを見るのをお勧めします。

めんどくさいのに憎めない人々が離婚やなんやですったもんだしてるだけのドラマですが、まじで11話が秒で終わります。

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ヒロイン役の尾野真千子は朝ドラのカーネーションと少し似た明るくからっとした役ですが、本当にこういう役が似合う。

とはいえ後述『Mother』では人生がままならず娘を虐待してしまう母親役を演じててそちらもまたハマり役という振れ幅の凄さ。

 

それでも、生きてゆく

僕の人生ベストドラマTOP3に入るドラマです。

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『大豆田とわ子~』や『カルテット』を先に見てると少し驚くと思うのですが、坂元裕二は2010年前後は結構ゴリゴリの社会派ドラマを書いてました。

最近のドラマも社会問題とかは盛り込んでますがやっぱりエンタメ色の方が強い。

たぶん、今は世相的にもシリアスすぎたり暗かったりすると数字取れないとかあるんですかね。

明言はされていないものの、酒鬼薔薇聖斗事件をモチーフにしたドラマです。

殺人を犯した少年Aの家族と、少年Aに殺された子どもの家族の話。

全体的に重いですが、生きることや罪と罰についてなど人間賛歌的なテイストが強く定期的に見たくなるドラマ。

自分の子どもを殺された母親(大竹しのぶ)が少年A(風間俊介)と対峙するシーンは日本ドラマ史に残る名シーンだと思います。

ヒロイン役の満島ひかりも影がありつつ明るく健気な演技が合い過ぎてて最高。

 

■Mother

これもシリアス坂元裕二

上記と少しテイストが違うのは、まだ会話劇的な部分は確立されていないこと。

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しかしストーリーがとにかく良い。

虐待されている女児を教師が誘拐するという話で、『八日目の蝉』みたいなストーリーです。

motherというタイトルが主人公を表していると思いがちですが、実質mothersかなと思います。

というのも単純な逃避行ストーリーではなく、怜南(芦田愛菜)を誘拐した奈緒(松雪泰子)、怜南を愛せなかった仁美(尾野真千子)、奈緒の育ての親である籐子(高畑淳子)、奈緒の産みの親である葉菜(田中裕子)、妊娠中の芽衣(酒井若菜)と様々な『母親』が絡む群像劇が主軸となっていてそれぞれの葛藤や決心が描かれてるためです。

儚くて美しい松雪泰子と当時5歳だった芦田愛菜ちゃんの恐怖を覚えるレベルの演技は伝説級。

特に芦田愛菜ちゃんは序盤は単純に卓越して演技の上手い子役というだけでしたが(それだけでも凄いんだけど)、後半の切ない演技の技量がバケモノレベルです。

あの切なさを出せるのは大人の俳優でもなかなか居ないような。

 

後続(?)の『Woman(主演:満島ひかり)』も良いですが個人的には『Mother』のが好きかも。

『Woman』は『Mother』の続編ぽさ出てますが、どっちかって言うと『それでも、生きてゆく』の方が近い。

すごく良い話ではあるんですが、後半テーマが少し散漫になってくる印象があります。

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■SPドラマ スイッチ

単発ドラマですが坂元裕二エッセンス盛り盛りです。

今や坂元裕二ドラマのミューズとなった松たか子主演。

検事と弁護士の緩やかな恋愛&仕事ドラマですが主人公ふたりのめんどくさすぎるやりとりが最高。

坂元裕二ドラマと弁護士って職業の相性の良さよ。

脚本も設定も展開も良かったし1クールドラマでやって欲しかったなぁ。

1時間半ほどで見れるので入門編にもおすすめ。

サブスクでは見かけないですがアマプラなら単話購入(レンタル)可能です。

 

 

以下は時間があったら見て!

 

■問題のあるレストラン

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会話劇としては最高ですがストーリーがなんとも言い難い。

4話で結実(二階堂ふみ)が『私は…緑です』と独白するシーンが大好き。

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いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう

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これも、脚本自体はめちゃめちゃ良かったのですが全体の設定が『おじさんが考えた現代の困窮する若者』みたいな感じで少し薄っぺらさが否めません。

でも名言だらけでこれもひとつの坂元裕二ドラマの真骨頂って感じ。

 

『カルテット』の後の『anone』もちょっと若者描写が少し浅い印象がありますが、『anone』に関しては全体的な設定や演出も含めるとそこまで違和感ないのかな。

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『問題のあるレストラン』、『いつかこの恋を~』、『カルテット』、『anone』など昨今の作品はちょっと問題があり物質的に豊かでない人々を描いてますが、坂元裕二ドラマのメインファン層って物質的にはある一定以上豊かだけど少し不器用みたいな人が多いんじゃないかって思ってます。

なので豊かだけど不器用な人々が主軸の『大豆田とわ子~』は今のファン層に一番ヒットしてるような。

 

いろんな人の感想を聞いてると『大豆田とわ子~』や『カルテット』は結構合わない人も居て、見方のスタンスによるものかなと思います。

展開や設定が舞台的というか、ストーリーの細かいところなんかにはあまりツッコミを入れずに台詞や流れのグルーヴを楽しむのが昨今の会話劇メインの坂元裕二ドラマなような。

『大豆田とわ子~』の設定なんてまさに舞台的よね。

熱い展開!とか驚くような伏線回収!とかがある訳ではないのでそういうのを求めてる人はまた違うのかな。

ただ、重いテーマの作品も多いですが殆ど全てがそれぞれのハッピーエンドという感じなのでそこは安心して見てください。

 

最近は民法ドラマがNetflixやアマプラから引き揚げ気味なので簡単に見れないものも多かったりしますが、いずれもどこかの配信サービスで見ることは可能です。

僕も、坂元裕二ドラマのために年一でわざわざFODに入ったりしてます。

fod.fujitv.co.jp

その価値あるから是非ね!