『あたらしいテレビ2025』おもしろかった!!
なんか、年末に余りに多くの良センス人類たちが今年買ったもの…とかおすすめコンテンツ…とか発信する文化が最近ビックリするくらい発達したようでわたしのような人間が、、人におすすめコンテンツを発表なんてもしかしておこがましい…?みたいな気持ちに支配されつつあったのですが『あたらしいテレビ』に触発されたので発信します。
■プロフェッショナル 仕事の流儀 - ジブリと宮﨑駿の2399日
なんかこれ気付いたらすべての配信サイトから消滅してて、やっぱり宮崎駿に密着するのは禁忌なのかしら…?って思ってたら再編集されて円盤化してたようです。僕は放送の方しかみてませんが(DVD/Blu-rayが見れる機器をすべて処分してしまった)。配信はないようなのでハードル高いコンテンツになってしまったけど見て欲しい。
『君たちはどう生きるか』製作途中の宮崎駿に密着してる番組なんだけども、いや、なんかもう宮崎駿に密着してるってそれだけで面白くないわけないよね。ホントに最高の人間なんですよ。宮崎駿って。ただその最高の宮崎駿をドキュメンタリーという形式で描写するにあたってその天才性とか狂気みたいなものを変にカリカチュアライズしている部分が無いとは言い切れないのでそこは好き嫌い分かれるかも。そこを面白がって見てしまうなら間違ったスタンスの見方です。乾いた大地に降り注ぐ雨の様に、宮崎駿その人そのものを受け入れて愛するためのコンテンツです。たぶん『君たちはどう生きるか』に対してモンヤリした感想を抱いた人って結構いると思うから、そういう人は見て欲しい。みんなのモンヤリが0.5%くらいは消化されます。99%以上はそのままです。
■サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん 2024年7月13日放送 - 新紙幣発行記念!未公開大放出 幻の葛飾北斎 大捜索SP完全版!
日本のテレビ局が明らかに一時期逃した魚たちである若年層を取り入れようと必死になっていて意外と若年層向けコンテンツが丁寧で面白いと最近思っていて。『博士ちゃん』は割とその筆頭番組なんだけどもこの回に関しては途中でむせび泣いてしまった。
別に感動する内容でもないし、番組自体も特別感動するように構成されてるわけではないんだけども、今回の主人公である目黒龍一郎くんの『好き』の思いが街の人の足を止めたり同じものを愛好する人々の心を動かしたりする様子がエモすぎるのよ。
■診療中!こどもネタクリニック
若年層向けコンテンツといえばということで思い出すのはこれで、もうネタ番組って死んだ??って思うくらい芸人がネタをただするのみのフォーマットの番組って死に絶えたよね。クセスゴとか有吉の壁みたいにちょっと特殊なフォーマットじゃないともうやってけないし、たぶんテレビである意味がなくなってしまったんでしょうね。
『こどもネタクリニック』は凄い簡単に説明すると子ども達の前で芸人がネタをやり子ども達がそれに対しフィードバックをする。そしてそのフィードバックを元に芸人がネタを練り直し再度披露するというもので割とシンプルではあるんだけど。ここまで言うと民放でも全然ありそうな内容じゃない?と思うんだけど、ここからがNHKの凄いところ。まず第一にめちゃくちゃバランス感ある子ども達を集めてて、フィードバックとかが『ネタのこの部分はSDGsじゃないから現代に即さない』みたいなことを言うのよ。そして第二に子ども達には上記のコメント+ペンタゴンのレーダーチャートで評価をさせるんだけどその内容が『好き/おもしろい/インパクト/ツッコミ/ボケ』の5要素であること。大人でも混同しがちな『好き/おもしろい/インパクト』をきちんと別物として評価させるフォーマットがまじで民放では思い至らない気がしてて地味にそこが凄いなと思ってる。そして最後に進行が濱口(よゐこ)と向井(パンサー)という超バランス型芸人であること。芸人が一生懸命作ったネタを一旦ぶち壊すというやりようによってはめちゃくちゃ失礼なフォーマットを成り立たせてるのはこの進行のふたりのような気がする。これも過去回の配信がない。配信してくれ。
すごい褒めてるけど明らかにこのフォーマットにハマる芸人(もしくはネタ)とハマらない芸人がいるのでそこはひとつ欠点かも。回によって面白さが違う。
■大河ドラマ - 光る君へ
おーい20代のころのわたし、10年やそこらでこんなにNHKを愛好する人間になると思ってたか!!?
2024年は『虎に翼』もあったのですが個人的にドはまりしたのは『光る君へ』。これもう僕のようなしょうもない人間よりも素敵で的確な感想がWebには溢れてるのであんまり語らないけど、すげーーーーーーーーーーーーーーー沢山の大人が集まってこの作品を作り上げてる!!っていうのが見ててわかるのよ。そういう意味では『カムカムエブリバディ』と同じハマり方だったかも。
100カメの大河回とか見たら凄すぎて泣いちゃうよ。
これ、紫式部の人生については資料がそんなになくて。だから想像が殆どになっていく中で平安の何をどこまで描くかっていうのはひとつスタッフ達のホットなイシューであったはずなんだけど限りある尺の中で何をどこまで取り入れようかっていう苦悩が本当に見ていてわかるのよ。全体のわかりやすさとか情報としての要不要とかもあるし。ドラマとして凄い!というよりも『誰かの凄い仕事』を見るみたいな感覚。
ドラマ内で描けるほど大量の史実が残ってないということはそれ以外のことがより具に描けるということで、(おそらく)脚本の大石静が丁寧に描いたのは人々の気持ちという選択が本当に良かったです。まぁ色々おや?というのはあったけどそれも含めて良かったし、大河ドラマ本来の保守視聴者層には不人気だったようだけど、こんなある意味で挑戦的な大河ドラマが出来たっていうのはNHKのこれからのスタンスを表明しているようでたまにゾクゾクしました。
今年のベストアクター賞は凰稀かなめとファーストサマーウイカかも。
■令和ロマンの娯楽がたり
この番組自体もまぁ良かった(1回目も2回目も…てかこんなんダラついてもいいから何時間でも放送してくれ!もしくはレギュラー番組化か)んだけど令和ロマンというユニットの特殊性がよく出てると思う。この人たちM-1で2回も優勝するのにバラエティに(それまでの優勝者ほどは)呼ばれないような感じがするのはひな壇向きじゃないというか、尖りすぎて自分で回さないと面白く出来ないっていう弱点(ただ、回し始めるとほんとにほんとに面白いので傍観者にとっては立派な武器)がある故だと思う。
良くも悪くもテレビそのものが変わりつつあるしもっと上手く活躍する場が出来て欲しいし、出来ないならいっそ見捨てて自分達の好きなようにやって欲しい。傍若無人であれ。
以下、テレビ以外のコンテンツ。
■ヤ―レンズのオールナイトニッポン
なんかもう、文学…???
ラジオの筈なのに文学を感じる。これはまじで。聞いてくれ。
現在は月いちで0(ZERO)やってるけど、2023年のM-1後、つまり2024年の年始放送の特番(2024年1月13日放送分)がまじで最高すぎて一字残らず書き起こししたい。配信とかがないけど、もう国語の教科書とかに掲載されてもおかしくないレベルで素晴らしいラジオだった。誇張じゃなく2000回くらい繰り返し聞いた。脳みそとか通ってない、脊椎からそのまま喋ってる感じがほんと好きすぎる。
公式なものではないのでここでは共有しませんが、何らかの方法で聞く方法はあるのでちょっと調べてみてください。0(ZERO)に関しては過去回はANN JAMっていうサブスクで聞けます。このために1ヶ月入っても悪くないくらいヤ―レンズANN最高。
■Y2K新書 シーズン2
書き起こししてるので別記事をそのうち上げます。100回くらい聞いてる。
シーズン1はこちら。てかいまだにシーズン1も聞き直してる。
■平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版 - 宮崎智之
なんかまぁ自分が35歳になりそういうゾーニングに至ってしまったこともひとつあると思うんだけども、ちょっとなんかこういう自分の弱さに向き合ったり言語化しようとする文筆というジャンルにものすごくハマってしまった。
これ後述の『パーティーが終わって、中年が始まる』にも共通するんですが、変に偉そうにプラクティカルなことを語る、みたいな結論に至らないのが本当に良かった。弱い自分に向き合って、その結論を他人に流用できるはずなんてないよね。
■パーティーが終わって、中年が始まる - pha
小さい頃、高橋留美子の『うる星やつら』が好きだった。たぶん所謂いつめんみたいな人々でわちゃわちゃとやっているのを見るのが好きだったんだと思う。
そういう意味だと著者はかつてそれを地でやっている人というか、現実でもこんな楽しそうなことが出来るんだ…というひとつの希望を幼い僕に与えてくれた人で。そんな著者が老いて、世の移ろいに対しどう感じてどう考えているかを綴った本でそんなものが良くないわけないよね。なんか、なんだろう、もともと女性のエッセイが好きだったこともあってこういうテーマのエッセイってどうしても面白おかしく、前向きにいっちゃいましょう!みたいな結論で終わっちゃうことが多くてそれは勿論いいしひとつ求めているものではあるんだけど、このつらつらと静かに受け入れてく感じが逆に良かった。
誰かが書く衰退が自分の希望になる日が来るなんて思わなかった。
あとこのへん?
とうとうアラフォーになったんですが、人生の栄枯盛衰みたいなものを本当に感じます。諸行無常!!2025年は抗っていきたいね。人生の反抗期よ。